「ソフトエナメルとハードエナメル、どちらがいいですか?」これは当社が一番多く受ける質問です。見た目も手触りもコストも違うのに、写真だけではその差が伝わりにくい。メダル素材ガイドの入色の章でも触れていますが、この記事ではMedalOriginが15年オリジナルメダルを作ってきた工場の立場から、この2つの違いをはっきりご説明します。

結論を先に言うと、オリジナルメダルのスポーツ大会やレースならソフトエナメル、表彰式や記念品など格式を求める場面ならハードエナメルが向いています。

[Image: enamel-medals.jpg — ソフトエナメルとハードエナメルの仕上がり比較]

根本的な違いは「表面の高さ」

ソフトエナメルは、塗料が金属の縁よりわずかに凹んで入ります。指でなぞると金属の縁が感じられ、立体感のある手触りです。

ハードエナメル(正式にはイミテーションハードエナメル)は、塗料を金属と同じ高さまで満たしたあと、面全体を平らに研磨します。ガラスのようになめらかで、金属と色の間に段差がありません。

この違いは塗料そのものではなく、製造工程から生まれます。素材と入色の全容はメダル素材のページで詳しく解説しています。

それぞれの作り方

ソフトエナメルの工程

ダイカスト・めっきのあと、液状のエナメル塗料を凹部に流し込み、乾燥炉へ入れます。低温60〜70℃で60〜90分(半硬化)、そのあと高温100℃で60分(完全硬化)の2段乾燥です。塗料は硬化の過程でわずかに縮み、金属の縁より低く沈みます。最小入色幅は0.3mm。

ソフトエナメルはレースメダルやスポーツメダルの標準で、速く作れて小さなデザインの揺れにも寛容、コストも抑えられます。

ハードエナメルの工程

ハードエナメルは液状ではなく、より濃いペーストを使います。充填後、焼き付けてからメダル全体を研磨機で削り、塗料と金属を同じ高さに揃えます。最小入色幅は0.5mm。

コストが上がるのはこの研磨工程のためです。削りが足りなければ表面が凸凹し、削りすぎればめっきを削ってしまいます。

3種類の入色の比較

項目ソフトエナメルハードエナメルグラスエナメル
表面の手触り金属の縁が残り凹凸がある平らでガラスのようガラスのような光沢
最小入色幅0.3mm0.5mm0.5mm
相対コスト標準+20〜30%+15〜20%
生産日数標準+1〜2日(研磨工程)標準
適した用途レース、スポーツ大会、学校行事表彰式、企業の記念品、式典水をテーマにしたデザイン、重ねた表現

用途別にどちらを選べばいい?

ソフトエナメルを選ぶ場合:質感のある伝統的なメダルにしたい、細かい文字や小さなデザインがある(0.3mmの最小幅がデザインの余地を広げる)、100〜5,000個の通常数量、標準的な仕上げで十分な場合。

ハードエナメルを選ぶ場合:宝飾品のようななめらかな仕上げにしたい、節目の記念(周年・優勝・表彰)、レースより式典向き、+20〜30%の予算を許容できる場合。

スポーツ大会での使い分けの実例はスポーツメダルのページでもご案内しています。

検討したい特殊な入色

ソフト/ハードの2択の先に、メダルを引き立てる加工がいくつかあります。

  • ラメ(グリッター):半乾きのソフトエナメルにラメ粉をまぶして封入。光を受けてキラキラと輝き、ナイトランや女性向けの大会で人気です。
  • 蓄光(夜光):エナメル硬化後に蓄光粉を載せます。月や星、開催年など、部分的に使うのがコツで、光を当てた直後が一番強く光ります。
  • 透明エナメル(グラス):金属の地肌が透けて見える半透明の色で、深みが出ます。水や自然をテーマにした高級賞におすすめです。

色合わせについて

当社はPantone基準でエナメルを調色します。塗料室には基本10色の顔料を常備し、ほぼすべてのPantoneソリッドを再現できます。ブランドのPantone番号をお送りいただければその通りに合わせ、番号がない場合はロゴや参考画像でこちらが合わせます。ブランドカラーが重要な場合は、量産前に色合わせサンプルを作って確認いただきます。

デザインを入色に最適化するコツは、オリジナルメダルのデザインガイドにまとめています。

よくある質問(FAQ)

Q. ハードエナメルはソフトより丈夫ですか? 通常の使用ではどちらも同等です。ハードは表面が平らで凹部に汚れがたまりにくいですが、塗料と金属の接着は同じです。普通に使っていれば、どちらも色あせ・欠け・剥がれは起きません。

Q. 1枚のメダルにソフトとハードを混在できますか? できません。工程が異なるため、1枚にはどちらか1つを選んでください。

Q. 文字の最小サイズは? 判読には1.5mmの文字高さが目安です。それ以下だとエナメルがきれいに入りません。極小の文字はレーザー彫刻やUV印刷が適しています。

Q. 色は何色まで入れられますか? 1〜3色が標準で、4〜6色はわずかな追加料金、7色以上は入色工程が増えるためコストが上がります。

Q. 写真映えするのはどちらですか? ハードは表面が平らで影が出にくく、均一に写ります。ソフトも凹凸が立体感を生んで写真映えします。どちらが良いかは会場の照明次第の面もあります。

Q. サンプルで両方を見比べられますか? はい。同じデザインでソフトとハードの両方を作って比較いただくこともできます。7〜10日でお届けします。


入色の仕上がりは文字だけでは伝わりにくいので、実際のサンプルでご確認いただくのが一番です。ロゴと数量、ご予算を badgeartisans@gmail.com までお送りください。24時間以内に無料でご提案します。お問い合わせもご利用ください。