オリジナルメダルを発注する前に、ぜひ知っておいてほしいことがあります。それは「工場で何が起きているか」です。メダルの仕上がりを左右するのは価格ではなく、工程ひとつひとつの精度です。オリジナルメダルの製造工程は、エンジニアのためだけの話ではありません。納品されたメダルが本番で映えるか、それともガッカリされるかは、ここで決まります。
MedalOriginは2010年から15年以上、中国・広東省の恵州でメダルを製造してきました。1日あたり30,000個以上を生産する工場で、設計から梱包まで12の工程があります。この記事では、その全工程を実際の設備と数値つきでご説明します。
[Image: process-03-die-casting.jpg — 88トンのダイカスト機で鋼金型に溶けた亜鉛合金を射出している様子]
設計と金型づくり:まず何を決める?
メダルの品質は、金属が溶ける前に決まります。設計ファイルが、その後の金型の細かさ、入色の仕上がり、付属品の取り付け位置まで、すべてを決めるからです。図稿の準備方法はオリジナルメダルのデザインガイドにまとめています。
生産に使えるデータとは
ご担当者様にデザイナーである必要はありません。ただし、データには生産基準があります。
| 項目 | 生産基準 | 基準を満たさない場合 |
|---|---|---|
| ファイル形式 | AI・CDR・PSD(ベクター推奨) | ラスター画像はCNC加工データにできないため、こちらで描き直し(+1日) |
| 解像度 | 実寸で300dpi以上 | 金型彫刻でディテールがぼやけ、文字がつぶれる |
| 色指定 | Pantoneソリッド | 画面のRGBはインクやエナメルで再現できない |
| 金属線幅 | 最小0.3mm | 細すぎると鋳造時に金型へ充填されず欠ける |
| 文字サイズ | 最小6pt | それ以下は溶けた金属が文字穴に流れ込み、判読不能になる |
現場では毎週のように、72dpiのJPEGロゴをRGBで受け取ります。問題ありません。当社で変換しますが、納期に1日かかります。ベクターならそのままCNC彫刻機に回せて、全員が時間を節約できます。
金型:鋼か、ラバーか
金型の素材選びで、仕上がりの切れ味が変わります。
| 項目 | 鋼金型(H13工具鋼) | ラバー金型(シリコン) |
|---|---|---|
| 寿命 | 50,000ショット以上 | 500〜1,000ショットで劣化 |
| 精度 | ±0.02mm | ±0.1mm |
| 型費 | 1回だけ(型は保存) | 安価 |
| サイクル | 15〜30秒/ショット | 60〜90秒 |
| 適した用途 | 100個以上、細かいデザイン、毎年繰り返す大会 | 50個未満の試作、単純な形状 |
100個以上のご注文では、迷わず鋼金型をおすすめします。当社の金型チームは北京精雕(Beijing Jingdiao)のCNCで設計データを工具鋼に彫り、熱処理を施してから量産に入ります。この熱処理がないと、385℃の亜鉛合金が金型表面をじわじわ削り、500個目が1個目と同じには見えなくなります。
工程3:ダイカスト — 385℃の亜鉛合金と88トンの圧力
工場で一番熱く、一番うるさい場所です。専門のメダル工場と一般の金属加工屋の差は、ここで最初の数ショット以内にわかります。
ホットチャンバー式のサイクル
亜鉛合金のインゴット(Zamak 3・5・7)を、機械に内蔵した炉で385℃まで溶かします。プランジャーが液体金属をグースネックから金型へ高圧で送り込み、文字の溝も人物の輪郭も1秒以内に満たします。15〜30秒後に金型が開き、エジェクターピンが成形品を押し出します。
亜鉛合金がメダルに使われる理由ははっきりしています。密度6.7g/cm³で、真鍮(8.9)より軽く、アルミ(2.7)より重い、手に取ったときの満足感がある重さです。385℃での流動性は抜群で、プレス加工では出せない細部まで入ります。めっきの乗りも良く、コストは真鍮のおよそ半分です。素材の詳しい比較はメダル素材ガイドをご覧ください。
鋳造不良と対策
| 不良 | 見た目 | 原因 | 当社の対策 |
|---|---|---|---|
| 湯じわ(コールドシャット) | 金属の流れが合流せず継ぎ目に見える | 金型が冷たい、射出が遅い | 金型を150℃に予熱し、リズムを一定に |
| 気孔 | 研磨後に小さな穴が見える | 空気の巻き込み、排気不足 | パーティングラインに排気溝、複雑形状は真空引き |
| ショートショット | 文字や形が欠ける | 射出圧不足、ゲートが小さい | ゲート径2mm以上、圧力は形状ごとに調整 |
| クラック | エジェクターピン付近にヒビ | ピンの配置ムラ、高温で押し出し | ピンは4本以上均等配置、冷却8秒以上 |
15年メダルを打ってきた工場は、金型ごとの最適な射出温度とサイクルを「手が覚えています」。これはマニュアルには書いてありません。
工程4〜5:バリ取りと研磨
鋳造直後のメダルは灰色で、ゲート跡やパーティングラインが残っています。研磨が、この表面をめっきが映える鏡面に変えます。
2段階の研磨
1段目・湿式研磨:水を流しながら回転する研磨砥石にメダルを当て、ゲート跡とパーティングラインを削ります。水冷で亜鉛合金が熱を持つのを防ぎ、めっき後に曇りとして出る「スミア」を避けます。片面30〜60秒です。
2段目・バフ研磨:コンパウンド付きの布砥石で鏡面に仕上げます。マット調にする場合はワイヤーホイールに切り替えます。電気めっきは傷を隠すどころか拡大します。素地の段階で見えない傷も、光沢ニッケルの下でははっきり出ます。
工程6〜7:リベット加工と表面処理
裏金具の取り付け
メダルの裏には、馬刺し針・安全ピン・マグネットなどをリベットで打ち込みます。色はめっき色に合わせ、色違いの金具は「慌てて組んだ」印象を一瞬で与えるため避けます。
電気めっきの流れ
電気めっきは1つの槽ではなく、目的別の薬液槽を順番に通す工程です。1段飛ばすと、金の仕上げは半年で剥がれます。
1. 超音波脱脂 — 研磨剤や指紋の油分を除去。汚れが残ると密着不良になり、安物のアクセサリーで見る「ブリスター(膨れ)」になります。
2. アルカリ銅めっき(約500秒) — 亜鉛合金の素地に食いつく下地層。塗装でいうプライマーです。
3. 酸銅めっき(20〜60分) — 表面の微細な凹凸を埋める厚付け層。ここを長くするほど下地が滑らかになりますが、コストがかかるため安い工場は短く済ませます。
4. 色めっき — 金・ニッケル・ローズゴールド・クロム・黒ニッケルなどを析出。ロット間の色ブレを出さないのが、規律のあるめっきラインの証です。
5. 封油 — トンネル炉で100℃・40分かけてクリアラッカーを焼き付け。金や銅はこの膜がないと空気に触れて変色します。
工程8:入色(エナメル)
デザインの凹部が色を入れる場所です。エナメルの種類でコスト・納期・耐久性・手触りが変わります。ソフトとハードの詳しい違いはソフトエナメルとハードエナメルの記事をご覧ください。
エナメル3種の比較
| 項目 | ソフトエナメル | ハードエナメル | グラスエナメル |
|---|---|---|---|
| 表面 | 金属の縁が残り凹凸がある | 平らでなめらか | ガラスのような光沢 |
| 最小入色幅 | 0.3mm | 0.5mm | 0.5mm |
| コスト | 標準 | +20〜30% | +15〜20% |
| 適した用途 | スポーツ大会、レース、学校行事(約8割) | 表彰式、記念品、高級賞 | 水をテーマにしたデザイン |
乾燥サイクルはここで差がつく
入色はシリンジで凹部にエナメルを入れるだけに見えて、実は乾燥が腕の見せどころです。
- 低温工程:60〜70℃で60〜90分 — 半硬化。複数色を順番に入れられるように、色が混ざらない段階まで固めます。
- 高温工程:100℃で60分 — 完全硬化。エナメルが化学的に架橋し、爪で引っかいても剥がれない強度になります。
乾燥を急ぐと、写真ではきれいでも数週間で剥がれるエナメルになります。当社は全ロット・全色、最後まで硬化させます。
工程9〜12:印刷・組立・検査・梱包
印刷の使い分け
| 方式 | 適した面 | 特徴 |
|---|---|---|
| UV印刷 | 平面+落差7mmまでの3D面 | フルカラー、即乾燥 |
| オフセット | 平面のみ | 最高品質、版代がかかる |
| レーザー | 各種表面 | 背番号・名前・記録など可変内容 |
3段階の検査
すべてのメダルが3つの検査ゲートを通ります。
- 鋳造後:ショートショットや気孔をチェック。不良は炉に戻し、亜鉛合金は100%リサイクルします。
- めっき後:5,000KのLED照明下でめっきのムラと密着を全数検査。
- 梱包前:入色の抜け、リボンの取り付け(5kgで引張試験)を個別確認。
リボンは標準で860〜900mm×20〜30mm、熱転写で大会名を印刷し、超音波でループを溶着します。縫い目がほつれず、接着が張力で剥がれません。
よくある質問(FAQ)
Q. 設計から納品まで全部で何日かかりますか? 設計1〜2日、金型3〜5日、サンプル7〜10日、量産はサンプル承認後7〜15日、速達輸送3〜7日です。通常は合計4〜5週間。特急対応なら20〜30%の追加で2〜3週間に短縮できます。
Q. 素材は何を選べばいいですか? 細かい3D表現や抜きデザインなら亜鉛合金のダイカスト、重厚感がほしい表彰用は真鍮、予算重視の大量配布は鉄です。素材の詳しい比較はメダル素材ガイドをご覧ください。
Q. 100個からの発注は本当に受けてもらえますか? はい、最小ロットは100個/1デザインです。それ未満でもまずご相談ください。
Q. サンプルは作れますか? 7〜10日で実物サンプルをお送りします。金型費は量産時に相殺できます。
Q. デザインの変更はどこまでできますか? 金型を彫る前なら無料で何度でも修正できます。めっきの槽を組んだ後は、工程をやり直すため納期に影響します。
Q. 型は保管してもらえますか? はい、再発注時は24時間以内に金型を出して対応します。毎年大会を開く方は、型の保管をぜひご利用ください。
イベントの日程と数量、サイズ、ロゴを badgeartisans@gmail.com までお送りください。24時間以内にデザイン案・生産スケジュール・見積もりを無料でお返しします。お問い合わせページからも受け付けています。
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