大会のロゴをメダルに入れたいとき、最初に確認されるのがデータの形式です。「PNGしかない」という場合でも製作は可能ですが、仕上がりに差が出ます。理由は、メダルに入れる方法がデータの種類によって変わり、それぞれ再現できる細かさが違うためです。デザイン全体の準備はメダルデザインのページでご案内していますが、ここでは入稿データの扱いを整理します。
ベクターデータと画像データはどう違う?
ロゴのデータは、大きくベクターと画像に分かれます。
| 項目 | ベクター(AI・EPS・PDF) | 画像(PNG・JPG) |
|---|---|---|
| 拡大したときの品質 | 劣化しない | ぼやける |
| 輪郭の情報 | 数式で保持している | ピクセルの集まり |
| レリーフ化 | 正確に変換できる | 輪郭が曖昧になる |
| 彫刻データへの変換 | そのまま使える | 作図し直す必要がある |
| 推奨度 | 最も推奨 | 補助的に使用 |
ベクターは輪郭を数式で持っているため、どれだけ拡大しても線がぼやけません。メダルのレリーフは金型に線を刻むため、輪郭が明確であるほど再現性が高まります。画像しかない場合は、こちらで輪郭をトレースしてベクター化し、レンダリングで確認いただきます。
ロゴを入れる3つの方法
ロゴの入れ方にも3つの方法があります。ロゴの性質によって適した方法が変わります。
| 方法 | 再現できる細かさ | 色 | 向いているロゴ |
|---|---|---|---|
| レリーフ(金型) | 線幅0.3mm以上 | 単色+エナメル | シンプルな図形、文字を含むロゴ |
| レーザー彫刻 | 線幅0.1mm以上 | 単色 | 細い線のロゴ、文字主体 |
| UVプリント | 印刷の解像度に依存 | フルカラー | 多色、グラデーション、写真 |
多色のロゴをそのまま再現したい場合はUVプリントが適しています。ただしUVプリントは摩擦に弱いため、手に取る機会が多いメダルには注意が必要です。長く残したい場合は、レリーフにエナメルを組み合わせる方法があります。エナメルは軟質で0.3mm、硬質で0.5mmの幅まで色を入れられます。
球技大会のロゴは、エンブレム+チーム名の組み合わせが多いため、レリーフにエナメルを合わせる構成が最も選ばれています。サッカークラブのエンブレムを入れる場合の実例は、サッカーメダルのページにまとめています。
レリーフ化する際の限界
レリーフは金型に刻んで成形するため、物理的な限界があります。これらは見た目の好みではなく、385℃の合金が金型に流れ込む条件から決まります。
| 項目 | 下限 | 超えるとどうなるか |
|---|---|---|
| 線幅 | 0.3mm | 合金が金型の隅まで回らず、線が途切れる |
| レリーフの高さ | 0.4mm | 成形時に埋まる |
| 最小内角半径 | 0.3mm | 角に合金が回らず欠ける |
| 文字の高さ | 1.5mm | つぶれて読めなくなる |
| 最小壁厚 | 2mm | 冷却時に変形・破断する |
| 軟質エナメルの入色幅 | 0.3mm | 塗料が入らず地の色が残る |
| 硬質エナメルの入色幅 | 0.5mm | 研磨で塗料が削り落とされる |
細い線が多いロゴは、そのままレリーフにすると線が途切れます。この場合は、線を太らせる調整を行います。見た目の印象を変えずに調整できるかは、レンダリングで確認しながら進めます。
文字を含むロゴの扱い
ロゴに文字が含まれる場合、文字をアウトライン化する必要があります。アウトライン化とは、文字を図形に変換する処理です。
| 状態 | メダルへの変換 | 対応 |
|---|---|---|
| アウトライン化済み | そのまま変換できる | 推奨 |
| フォントデータ付き | フォントがあれば変換できる | フォントを添付する |
| 文字が画像 | 作図が必要 | こちらでトレースする |
アウトライン化されていない文字は、フォントが異なると別の形になります。大会名やチーム名を正確に再現するため、アウトライン化したデータをお送りください。
入稿データのチェックリスト
発注前に、次の点を確認してください。
- 形式:AI、EPS、PDF のいずれか(ベクター)
- アウトライン化:文字が図形に変換されているか
- 色の指定:Pantone番号、または CMYK・RGB の値
- ロゴの使用範囲:余白や最小サイズの規定があるか
- 線の太さ:レリーフの場合、0.3mm以上あるか
- 細かい要素:かすれや小さすぎる要素がないか
- 背景:透明か、白地か
画像しかない場合は、解像度300dpi以上のものをお送りください。それ以下だと輪郭が曖昧になり、トレースの精度が下がります。
色を合わせる
ロゴの色を正確に再現するには、Pantone番号があると確実です。
| 指定方法 | 再現度 | 備考 |
|---|---|---|
| Pantone番号 | 高い | 塗料をその番号に合わせる |
| CMYK値 | 中 | 印刷用の数値のため、塗料とは異なる場合がある |
| RGB値 | 中 | 画面表示用の数値のため、現物と差が出る |
| 参考画像のみ | 中 | こちらで近似色を選び、見本で確認する |
チームカラーやブランドカラーのように正確さが求められる場合は、量産前に色見本を作って確認いただきます。画面上の色と、実際の塗料の色は一致しないためです。
データ入稿から量産まで
入稿の流れは次のとおりです。
| 段階 | 内容 | 期間 |
|---|---|---|
| データの受領 | ロゴデータ、デザインの希望を確認 | — |
| レンダリング | 24時間以内に3Dデザインを作成 | 1日 |
| 修正 | 線の太さ、色、配置を調整 | 無制限 |
| サンプル | 実物で質感と色を確認 | 7〜10日 |
| 量産 | 金型製作、鋳造、めっき、入色、彫刻 | 7〜15日 |
デザインの修正は無制限で、費用はかかりません。金型を製作する前であれば、ロゴの調整は自由にできます。逆に、金型を作った後でロゴの形を変える場合は、新しい金型が必要になります。
よくある質問
PNGしかありませんが、製作できますか?
できます。こちらで輪郭をトレースしてベクター化します。解像度300dpi以上のものをお送りください。トレース後はレンダリングで確認いただきます。
多色のロゴを立体的に入れられますか?
立体的な表現と多色の再現は、同時に満たすのが難しい部分です。レリーフにエナメルを組み合わせれば、立体感と色を両立できます。色数が多い場合はUVプリントが適しています。
ロゴの色は完全に一致しますか?
Pantone番号があれば、塗料をその番号に合わせます。ただし金属の上に塗るため、紙に印刷した場合とは見え方が異なります。量産前に色見本で確認いただくことをおすすめします。
細い線のロゴはどうなりますか?
レリーフの場合、線幅0.3mm未満は合金が回らず途切れます。線を太らせる調整を行い、印象を保てるかレンダリングで確認します。細い線をそのまま活かしたい場合は、レーザー彫刻(0.1mm以上)が適しています。
ロゴを裏面に入れることもできますか?
できます。表面にモチーフ、裏面にロゴという構成も可能です。両面にデザインを入れる場合は、金型を2面分作るため事前にお見積もりします。
データの受け渡し方法は?
メール添付またはファイル転送サービスをご利用ください。大きいデータの場合はご相談ください。
ロゴデータの形式が分からない場合も、まずはお送りください。こちらで確認し、最適な入れ方をご提案します。24時間以内に3Dレンダリングをお作りして、仕上がりを確認いただきます。お問い合わせからご連絡ください。名入れの方法はメダルの名入れ・刻印の方法と注意点でご案内しています。
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