「卒業記念に、クラスの集合写真をそのままメダルに残したい」。そんなご相談を、当社工場(中国・広東省恵州)では毎年この時期に多く受けます。名前や年度を彫るだけの記念メダルと違い、写真入りメダル(フォトメダル)は、写真そのものが主役です。だからこそ、どの製法で写真を載せるか、どんなデータを用意するかで、仕上がりの印象が大きく変わります。この記事では、写真をメダルに載せる加工技術と、用途別の設計・発注の考え方を、製造者である私たちの目線で整理します。オリジナルメダル全般の考え方はオリジナルメダルのページでご案内しています。
写真入りメダルと「名入れメダル」は何が違う?
名前や記録を彫る「名入れメダル」は、文字が主役です。一方、写真入りメダルは、顔・集合写真・ロゴなどの画像が主役になり、文字は副次的に添える位置づけになります。この違いは、使う加工法と、ご用意いただくデータの種類に直結します。文字中心のご相談はメダルの名入れ・刻印のページで、写真の加工はこの記事で、と使い分けていただくと分かりやすいです。
写真は「面」で見せる情報です。陰影・色・解像度のすべてが仕上がりに出るため、製法選びとデータ準備の比重が名入れメダルより大きくなります。
写真をメダルに載せる3つの製法
写真を金属に載せる方法は、大きく3つに分かれます。それぞれ得意なことと苦手なことがはっきりしています。
UVプリント(金属に直接印刷)
最も一般的な方法です。金属表面にインクを吹き付け、紫外線(UV)で即座に硬化させます。当社工場のUV印刷は、平面だけでなく最大7mmのレリーフ(凹凸)まで追従して印刷できます。これは写真や細かい文字に向く特性で、顔の陰影や集合写真の一人ひとりまで表現できます。エナメルでは難しい写真のグラデーションも、UVプリントなら滑らかに出せます。エナメルの最小幅はソフトで0.3mm、ハードやガラスで0.5mmですが、写真の階調表現はエナメルよりUVプリントのほうが得意です。
フォトドーム(写真を貼り込む)
印刷した写真をメダルの凹部に貼り込み、その上を透明な樹脂ドームで覆う方法です。写真そのものを1枚のパーツとして扱うため、印刷の色がそのまま出ます。個人の顔写真を主役にした卒業記念や、集合写真を1枚ずつ配る用途に向きます。一方で、樹脂ドームは長期間の紫外線で黄変することがあるため、屋外で長く掲げる大会メダルにはUVプリントのほうが向きます。
彩瓷 UV(UVによる多色仕上げ)
彩瓷UVは、UV印刷を応用した多色仕上げの方式です。写真の再現性を保ちながら、メダル全体のデザインに一体感を持たせたいときに選ばれます。どの方式が最適かは、写真の枚数・大きさ・使われる環境で変わります。迷われた場合は、写真データをお送りいただければ、当社から最適な方式をご提案します。
3方式の比較
| 方式 | 細かさ・精度 | 耐候性 | コスト | 向くデザイン |
|---|---|---|---|---|
| UVプリント | 高(最大7mmのレリーフまで追従) | 中〜高(封油で保護) | 標準 | 集合写真、顔、写真+ロゴの混合 |
| フォトドーム | 高(印刷写真をそのまま) | 中(樹脂が経年で黄変の可能性) | 標準〜やや高(工程が増える) | 1枚の写真を主役にしたい個人記念 |
| 彩瓷 UV | 高(フルカラーの多色表現) | 中〜高 | やや高 | 鮮やかな発色を重視する記念品 |
耐候性は相対的な目安です。屋外や高温多湿で長く使う場合は、UVプリントに保護コートを重ねる仕様をおすすめします。どの方式も、写真の元データの質が仕上がりの上限を決めます。
写真データの準備で仕上がりが決まる
写真入りメダルで最も多い失敗は、データの解像度不足です。メダルに載せる写真は、実寸で300dpi以上を目安にしてください。たとえば直径50mmのメダルに顔写真を入れる場合、顔の部分だけで数百ピクセル必要になります。スマートフォンで撮った写真でも、無理に引き伸ばさずに使えば問題ありません。
注意したい点は次のとおりです。
- 色:画面のRGBは印刷で完全には再現できません。ロゴなど色の正確さが重要な要素は、Pantoneで指定いただくと確実です。
- トリミング:メダルは円形が基本のため、四角い写真は四隅が切れます。顔や被写体を中心に寄せてください。
- ロゴ:会社ロゴや学校章は、ベクターデータ(AI・EPS・PDF)が理想です。写真の中に小さく写り込むだけなら、画像のままで構いません。
データの準備方法はオリジナルメダルのデザインのページでご案内しています。写真しかなくても、当社でトリミングと色調整を行い、24時間以内に図案をお返しします。
素材と写真の相性
写真入りメダルは、印刷面の平滑さが仕上がりを左右します。素材ごとの特徴は次のとおりです。
- 亜鉛合金ダイカスト(Zamak 3/5/7、密度6.7 g/cm³):立体造形が得意で、最小肉厚2mm、最小線幅0.3mmまで成形できます。写真を囲む縁取りや細かい文字も一体で作れるため、当社の標準素材です。
- 真鍮(密度8.9 g/cm³):プレス加工。重厚感があり、写真を添えた表彰用メダルに向きます。
- 鉄(密度7.8 g/cm³):プレス加工。予算を重視した大量配布に向きます。
- アルミ(密度2.7 g/cm³):プレス+アルマイト加工。軽いのが特長ですが、深い3Dレリーフはできません。写真の平面印刷には向くものの、立体表現は限られます。
素材の詳細はメダル素材ガイドをご覧ください。写真の可読性を最優先するなら、平滑な印刷面を確保しやすい亜鉛合金が扱いやすい素材です。
用途別の設計ガイド
同じ「写真入り」でも、用途によって写真の使い方と設計の勘所は変わります。
卒業記念
クラス全員に配る場合は集合写真を、一人ひとりに渡す場合は個人写真を選びます。集合写真は顔が小さくなるため、直径50mm以上を推奨します。学校名や年度はレリーフで金型に刻み、氏名は彫刻で1枚ずつ入れる切り分けが経済的です。卒業記念全般の設計は卒園・卒業記念メダルの作り方でご案内しています。
部活
チーム写真に背番号やポジションを組み合わせます。競技モチーフをレリーフにすると、写真とのメリハリが出ます。運動部の年間行事に合わせるなら運動会・体育祭メダルガイドも参考になります。
大会記念
大会ロゴ+開催年+入賞写真、あるいは参加者全員の集合写真を使います。タイムや順位などの記録は1枚ごとに異なる可変情報なので、レーザー彫刻で個別に入れるのが定番です。
社内表彰
社員の顔写真+会社ロゴ+勤続年数を組み合わせます。法人向けの表彰メダルは、統一デザインで毎年作り続けられることが多く、金型を保管しておけば再発注がスムーズです。法人向けは法人向けメダルのページでご案内しています。
サイズ・縁・リボンのバランス
写真の可読性はサイズに比例します。集合写真のように人数が多いほど、大きいサイズが必要です。縁の装飾は細くしすぎないことも重要です。成形上の最小線幅は0.3mm、最小レリーフは0.4mm(推奨0.6〜0.8mm)で、これを下回る繊細な飾りは鋳造時に金属が回らず欠けます。
リボンは標準で860〜900mm×20〜30mm、子ども用は800mm×20mmです。写真の主要な色に合わせてリボン色を選ぶと、メダル全体の統一感が出ます。写真の背景色をリボンに合わせる、という選び方も現場ではよく使われます。
発注から納品まで
当社工場は中国・広東省恵州にあり、2010年から15年以上メダルを製造しています。1日あたり30,000個以上を生産し、50カ国以上へ輸出してきました。最小ロットは100個/デザイン、量産納期は7〜15日、サンプルは7〜10日です。デザインは無料、図案は24時間以内、修正は無制限で承ります。
品質は3段階で管理し、合格品を100%納品します。認証はBSCI、Disney、ISO9001、Reach、RoHS、TUV Rheinland、Sedex、USJを取得しています。めっきは9工程(アルカリ銅めっき約500秒、酸銅めっき20〜60分、トンネル炉100℃/40分の乾燥など)を経て、写真の土台となる素地を作ります。亜鉛合金の融点385℃、88トンのダイカストマシンという条件の下で、写真を載せる平滑な面を安定して作れることが、写真入りメダルの品質を支えています。
正直にお伝えする限界
最後に、誇張なくお伝えします。当社はロットごとの再生材比率を証明できません。また、「カーボンニュートラル」や「ゼロエミッション」をうたうメダルは、当社には存在しません。環境配慮のご要望は承りますが、証明できない数値を事実のように提示することはしません。写真入りメダルも同じで、できることとできないことを正直にお伝えしたうえで、最適な仕様をご提案します。
よくある質問
写真は何枚でも1つのデザインに入れられますか?
複数枚を組み合わせることもできますが、メダルの面積には限りがあります。顔が判別できる大きさを保つには、集合写真1枚か、個人写真2〜3枚程度が現実的です。枚数が多い場合は、サイズを大きくするか、裏面に回すご提案をします。
スマートフォンで撮った写真でも大丈夫ですか?
問題ありません。実寸で300dpi以上あれば十分です。ただし、画面で拡大して粗く見える写真は、メダルでも粗く出ます。暗い写真や手ブレの大きい写真は、当社で明るさとコントラストを調整します。
写真が経年で色あせしませんか?
UVプリントは封油(クリアラッカー)で保護するため、通常の使用では色あせは緩やかです。フォトドームは樹脂が経年で黄変することがあります。屋外で長期間掲げる用途では、UVプリントに保護コートを重ねる仕様をおすすめします。
集合写真の顔はどれくらいのサイズまで大丈夫ですか?
顔の幅がおおよそ3mm以上あれば、判別しやすくなります。それより小さくなる場合は、人数を分けるか、サイズを大きくしてください。金型彫刻の解像度ではなく、写真データの解像度が上限になります。
写真と名前を両方入れられますか?
入れられます。写真はUVプリントや貼り込みで、氏名は彫刻で、という組み合わせが一般的です。共通の写真と可変の氏名を分けることで、コストを抑えつつ一人ひとりに合わせた記念品になります。
少量でも作れますか?
最小ロットは100個/デザインです。それ未満の場合も、まずはご相談ください。写真入りは1個ずつ内容を変えられるため、少人数の記念品でも柔軟に対応します。
写真入りメダルのご相談は、写真データの段階でお気軽にお寄せください。ご担当者様がデザイナーである必要はありません。お手持ちの写真とロゴをお送りいただければ、こちらで整えます。
写真・ロゴ・入れたい文字、用途、数量、ご予算をお知らせいただければ、24時間以内に無料でデザイン案とお見積もりをお送りします。修正は無制限、デザイン料はいただきません。最小ロットは100個/デザイン、量産納期は7〜15日、お支払いはT/T 30%+70%で承ります。
費用感の目安はメダル製作費用の相場でもご確認いただけます。まずはお問い合わせよりご連絡ください。



